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相続不動産の評価額の求め方を解説|評価額を減額できるケースとは

2023/08/29

相続税を計算するうえで最大の関門となるのは不動産の評価です。不動産の相続税評価額は、国税庁が公表している路線価方式等で計算できますが、自分では難しそうと及び腰になりがちです。しかしながら、実際は路線価の考え方や計算方法はそれほど難しくありません。

不動産の評価額の具体的な計算方法や自分で相続税額を確認する方法について解説します。さらには評価額を減額できる事例などについても紹介します。

相続時に不動産評価額が重要になる理由

相続時に不動産評価額が重要な理由について解説します。まずは基本をしっかり理解しておきましょう。

相続手続きには期限がある

相続が発生した場合、相続手続きにはそれぞれ決められた期間があります。

相続発生後、7日以内の死亡届の提出と火葬許可証の申請、10カ月以内の相続税の申告と納付など、やることは沢山あります。その中で、適正な相続財産の評価額や相続税額を算出する必要があります。

相続が発生した場合、相続人は、相続財産を相続することになります。相続財産とは、被相続人が死亡時点で所有していた権利義務であり、一般的なものとして、被相続人の預貯金、現金、不動産、証券、車、貴金属などがあります。相続手続きをスムーズに進めるため、相続財産を正確に把握することが必要となります。

不動産は扱いが難しい

相続財産のなかで特に扱いが難しいのが不動産です。理由として不動産は、株式のように値動きがリアルタイムで表示されるわけではなく、一つひとつの条件が異なるためです。

国税庁が令和4年12月に公表した「令和3年分相続税の申告事績の概要」によると、相続財産の金額19兆6,794億円のうち、土地が6兆5,428億円、家屋が1兆,133億円となっており、不動産(土地と家屋の合計)は相続財産の38.3%を占めています。相続において不動産評価の重要度が高いことがわかります。

不動産を相続する場合、不動産評価額を計算しなくてはなりません。土地であれば立地や面積、敷地の形状など、さまざまな要素を考慮して計算します。不動産の評価を間違えると相続税の過少申告にもつながり、追加の税金が科される可能性もあります。

参考:国税庁「令和3年分 相続税の申告事績の概要

相続登記の義務化

不動産を相続した場合の必要手続きのひとつとして、「相続登記」があります。これまで相続登記は罰則などが課せられなかったため、手続きをしない方も多くいました。

しかし、2024年4月1日より、相続登記は義務化されます。不動産を相続したことを知ったときから3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料が課されることになります。つまり、不動産を相続した場合、不動産評価額の計算、相続税額の計算、相続税の納付、相続登記を確実に実施する必要があります。

参考:法務省「相続登記の申請義務化(令和6年4月1日)
相続不動産に関するお問い合わせ

相続不動産の評価額の求め方

相続不動産の具体的な求め方について、具体例を用いながら解説していきます。

不動産を評価するための準備

相続した不動産の評価をするには、しっかりとした準備が必要です。不動産を相続した場合の手続きの流れは以下のとおりです。

  1. 相続人の確定
  2. 相続する不動産の確定
  3. 不動産評価額の計算
  4. 相続税額の計算
  5. 相続税の納付
  6. 相続登記

まず、相続人の確定をするため、被相続人の戸籍を調査します。登記手続きを進める際にも必要であり、想定外の相続人が発覚するケースもあるため確実に実施しましょう。

次に相続不動産の確定です。なかには、相続人が知らない不動産があるケースがあります。被相続人の住所地の役所で、「名寄帳」や「固定資産評価証明書」を取得します。

不動産が特定できれば、法務局から「登記事項証明書」を請求します。登記事項証明書は法務局の窓口のほか、郵送やインターネットを利用してオンラインによる交付請求を行うことができます。

なお、土地と建物の登記事項証明書は別々のものですので、必ず両方を取り寄せるようにしてください。また、土地は地番ごとに登記がされています。法務局で固定資産評価証明書に記載されている所在地の土地の「公図」を取得し、漏れがないように取り寄せてください。

不動産の評価方法

土地と建物では評価額の求め方が異なります。建物の評価額は、上記の相続不動産の確定で触れた固定資産税評価額と同額になります。

土地の相続税評価額は建物と異なり、以下の2種類により計算します。所在する地域や土地の用途などによって計算方法が変わるので注意が必要となります。

  • 路線価を用いる計算方法:路線価の設定がある土地
  • 評価倍率を用いる計算方法:路線価の設定がない土地

路線価を用いた相続税評価額の計算

路線価の設定がある地域では、路線価を用いて土地の相続税評価額を計算します。具体的な計算方法については後述しますが、次のような計算式で相続税評価額を求めます。

相続税評価額 = 路線価 × 地積 × 補正率

具体例で見てみましょう。下記条件の土地の相続税評価額は、以下のように計算します。

  • 路線価100千円/㎡
  • 地積100㎡
  • 補正率0.8

相続税評価額=路線価100(千円/㎡) × 地積100(㎡) × 補正率0.8 = 800万円

計算式自体は難しくないため、路線価、地積、補正率をそれぞれ正確な数字を用いることが重要になります。それぞれについて解説していきます。

路線価

路線価とは、国税庁が定める路線(道路)ごとの1㎡あたりの金額であり、千円単位で記載されています。国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」にアクセスして確認ができます。

路線価は年1回発表され、価格変動によって納税者間で不公平が生じないよう、時価の8割程度を目安に定められています。

地積

地積とは、土地の面積のことであり、毎年4〜5月頃に送られてくる固定資産税の納税通知書で確認できます。

納税通知書がない場合は、土地の登記簿謄本でも確認できます。なお、正しい評価額を計算するためには測量士や土地家屋調査士に依頼して現地測量を行い、評価する土地の正確な面積を確認する必要があります。

補正率

補正率とは、宅地の形状に応じて土地の価値を把握するための割合をいいます。

路線価は土地の個別事情までは考慮していないため、相続する土地の形状等を把握し、国税庁が公表している補正率を調べる必要があります。ただし、土地は個別性があるため、補正率を正確に算出するのは難しいです。不動産売買を仕事にしている方であっても正確に計算できる方は少ないのが実情です。複雑な土地の場合は相続に強い税理士や不動産鑑定士に相談するとよいでしょう。

ちなみに国税庁が公表している補正率は以下のようなものがあります。対象の土地形状をしっかり把握し、間口と奥行きの状態や土地の道路接道により、どの補正率を使用できるか確認していきます。

補正率 特徴
奥行価格補正率 平均的な奥行と比べて、短い、あるいは長い
側方路線影響加算率 正面と側面に道路がある土地(角地)
二方路線影響加算率 正面と裏面に道路がある土地
間口狭小補正率 道路に接する間口が狭い土地
奥行長大補正率 道路に接する間口が狭く、奥行きのある土地
不整形地補正率 正方形や長方形ではなく、いびつな形状の土地
がけ地補正率 崖になっている土地

参考:国税庁「法令解釈通達 奥行価格補正率表 付表1~付表9

評価倍率方を用いる相続不動産の評価方法

すべての道路に路線価が設定されているわけではなく、路線価が設定されているのは、人口が多い市街地や住宅地です。市街化調整区域と呼ばれ、都市計画で市街化を抑制すべき地域として定められるエリアなどは、路線価が付されていないことが一般的です。

このように路線価がない地域では、評価倍率を用い自分で相続税評価額を計算できます。

相続税評価額 = 固定資産税評価額 × 評価倍率

具体例で見てみましょう。下記条件の土地の相続税評価額は、以下のように計算します。

  • 固定資産税評価額1,000万円
  • 評価倍率1.1

相続税評価額 = 固定資産税評価額1,000(万円) × 評価倍率1.1 = 1,100万円

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、固定資産税の基準となる評価額のことです。これは、各市区町村(東京都23区の場合は都)が算定します。3年に1度見直され、公示価格の70%の水準になるように調整されているのが特徴です。固定資産税評価額を確認するには、以下の2つの方法があります。

  • 固定資産税課税明細書を確認する
  • 固定資産税評価証明書の発行を受ける

評価倍率

評価倍率表とは、地域と地目ごとの評価倍率を表にしたものです。路線価と同様に自分で確認できます。国税庁が公表している「評価倍率表」にアクセスし、該当の土地が存在するエリアを選択すれば確認ができます。

相続不動産の評価額は減額できる?


相続する不動産の評価額を抑えることで、相続税の節税が可能となる点は大きなメリットです。不動産の利用状況によっては、相続税評価額の減額を受けられる場合があります。主なケースは次のとおりです。

  • 貸家建付地
  • 小規模宅地等の特例を利用する場合
  • 借地権の場合

貸家建付地

貸家建付地とは自己所有の土地に賃貸用の建物を建て、第三者に貸している場合の土地のことです。つまり、賃貸アパート、賃貸マンションなどの賃貸物件が立っている土地のことです。貸家建付地は以下のように相続税評価額を下げることができます。

本来の土地の相続税評価額 ー (本来の土地の相続税評価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

借地権割合とは、土地を借りて利用する権利の割合のことです。国税庁の路線価図または「評価倍率表」で確認できます。

借家権割合とは、賃貸借契約を結んで建物を借り、利用する権利の割合のことです。国税庁の「財産評価基準書」に掲載されています。

賃貸割合とは、建物の床面積の合計に占める課税時期において賃貸されている部分の割合です。すべて賃貸している場合の賃貸割合は100%です。

具体例で見てみましょう。下記条件の貸付建付地の相続税評価額は、以下のように計算します。

  • 本来の土地の相続税評価額1,000万円
  • 借地権割合30%
  • 借家権割合40%
  • 賃貸割合90%

貸家建付地の相続税評価 = 本来の土地の相続税評価額1,000 ー (本来の土地の相続税評価額1,000 × 借地権割合30% × 借家権割合40% × 賃貸割合90%)=892万円

小規模宅地等の特例を利用する場合

相続人が、相続開始時点で被相続人と同居したり、事業を一緒に運営したりしていた場合などに、最大80%相続税評価額の減額を受けられるのが小規模宅地等の特例です。

対象となる土地は、お店などの事業で使われていた土地(特定事業用宅地等)、賃貸アパートやマンションなど不動産貸付業に使われていた土地(貸付事業用宅地等)、住宅として使われていた土地(特定居住用宅地等)です。

土地の種類 限度面積 減額される割合
特定事業用宅地等 400㎡ 80%
貸付事業用宅地等 200㎡ 50%
特定居住用宅地等 330㎡ 80%

小規模宅地等の特例を利用した場合の相続税評価額は以下のように計算ができます。

本来の土地の相続税評価額 ー (本来の土地の相続税評価額 × 減額される割合)

具体例で見てみましょう。下記条件の土地の相続税評価額は、以下のように計算します。

  • 土地の相続税評価額1,000万円
  • 被相続人と同居していた自宅(200㎡)

相続税評価 = 1,000 - (1,000 × 80%) = 200万円

借地権の場合

相続したのが土地の借地権の場合、以下のとおり土地の相続税評価額に借地権割合を乗じて減額します。なお、借地権とは、「第三者から土地を借り、対価(地代)を支払い借りた土地の上に建物を建てる権利」です。以下のように求められます。

借地権の相続税評価額 = 土地の相続税評価額 × 借地権割合

借地権の割合は、国税庁の路線価図で確認ができます。路線価図の路線価に付記されているアルファベット(A~G)で借地権割合を確認します。(「250E」や「300D」のように表示され、末尾のアルファベットが借地権割合になります)評価倍率表で確認ができます。

下記条件の借地権の相続税評価額は、以下のように計算します。

  • 土地の相続税評価額1,000万円
  • 借地権割合60%

相続税評価 = 1,000 × 60% = 600万円

その他減額ができる場合

ここまで紹介した以外にも、たとえば以下のようなケースで評価額を減額できる可能性があります。

  • 奥行価格補正を使用する場合
  • 不整形地補正を使用する場合
  • 土地の一部に私道がある場合
  • 墓地や斎場などに隣接している土地
  • 市街化区域に田・畑・山林・原野がある場合
  • 道路に面していない場合
  • 崖地や地面が傾斜している場合
  • 道路と地面の間に高低差がある場合

詳しくは不動産会社や不動産鑑定士、税理士などにご相談ください。
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