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不動産の相続手続きは自分でできる?かかる費用や必要書類も

2024/04/30

不動産の名義変更を行う相続登記は自分でも行うことができます。法律の専門家に依頼することが一般的ですが、自分でやるにはどのような流れで、どれくらいの時間と費用がかかるのでしょうか。

相続登記の手続きを自分で行う際の流れから、司法書士に依頼する場合の時間や費用まで、わかりやすく解説していきます。

不動産の相続手続きは自分でできる?

相続が発生すると、相続した不動産の登記上の名義を、被相続人(亡くなった人)から相続人の名義に変更することが義務づけられています。そのために必要となる手続きが、所有権移転登記の申請、いわゆる相続登記です。

この相続登記の申請は、司法書士に代行してもらうことが一般的ですが、相続人が自分で行うことも可能です。

申請する内容が同じであれば、自分で手続きをしても司法書士に依頼しても、結果は変わりません。ただ、専門知識のある司法書士に依頼する方が、スムーズに間違いなく手続きが完了するでしょう。

ちなみに、司法書士以外の者(土地家屋調査士などを除く)が登記関連の手続きを代理で行うことは、法律で禁止されています。

共同相続人が二人以上いる場合の相続手続き

相続人が一人だけの場合、すべての財産(不動産など)を相続するため、比較的手続きは複雑ではありません。
兄弟など複数の相続人(共同相続人)がいる場合、法定相続分のままで各人が持ち分を取得することもできますが、遺産分割も可能です。
遺産分割とは、どの遺産を誰が相続するのか、相続人全員で話し合って決めることです。
遺産分割をした場合は、不動産を取得する相続人のみで登記を申請できます。

参考:法務省 不動産を相続した方へ

遺産分割する場合の相続登記の流れは後述します。

相続登記を自分で行う場合にはどれくらいの時間がかかる?

不動産の相続手続きを自分で行う場合、遺産分割協議書を作成したり、登記申請のための書類を準備したりする時間を合わせると、目安として2カ月ほどかかる可能性があります。
なかでも必要書類の収集に時間がかかることが多く、不動産の登記の状態や被相続人(亡くなった人)の家族関係によって、1カ月以上かかることがあります。

司法書士に依頼した場合も、上記の事情に応じて多少必要な時間は変わると考えられますが、一般的には1カ月程度で終わることが多いでしょう。

相続登記の申請から完了までは1週間程度かかるため、不動産の相続手続きは2カ月かかると思っておきましょう。

相続登記を自分で行うのは手間?

相続した不動産の登記を自分で行う場合、たくさんの証明書を集めなくてはいけません。

戸籍などの証明書を請求する役所はほぼ平日しか業務を行っていないため、何日も仕事を休んで取りに行く必要があるケースもあります。

司法書士に依頼した場合、書類の収集から提出まで、すべての手続きを任せられるため、手続きにかかる手間を大きく減らせます。

相続登記を自分で行う流れ

相続登記を自分で行う流れは、以下のとおりです。

  1. 必要書類を収集する(戸籍謄本や住民票などを取得)
  2. 遺産分割を行い、遺産分割協議書を作成する(※)
  3. 登記申請書の作成・提出
  4. 登記完了

(※)共同相続人がいて遺産分割をする場合のみ

法務局(登記所)では登記申請書の作成などに必要な情報提供を、対面や電話などで行っており、「法務局手続案内予約サービス」のサイトなどから予約できます。

ただし登記の種類や内容によっては、高度な専門知識を要するものなどもあるため、司法書士などへの依頼・相談を勧める場合もあります。

1.必要書類を収集する

相続登記の必要書類は、相続登記の原因(法定相続・遺産分割・遺贈)によって変わりますが、共通して必要な書類の一つに被相続人の戸籍の証明書があります。
戸籍の証明書は、令和6年3月1日から、本籍地以外の役所でも交付してもらえるようになりました。

交付してもらうには下記の手数料がかかります。

戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) 1通450円
除籍全部事項証明書(除籍謄本) 1通750円

郵送で交付を申請する場合は、郵送料(返送料含む)も別途かかります。

2.遺産分割を行い、遺産分割協議書を作成する

相続人の間で遺産をどのように分けるか協議し、遺産分割協議書を作成します。

※「法務局」は、遺産分割協議書の作成や遺産分割の方法についての相談・問い合わせには対応していません。

3.登記申請書の作成・提出

書類を収集し終えたら、登記申請書を作成します。登記申請書のひな形は、法務局のホームページでダウンロードできます。
登記申請書を作成したら、必要書類一式とともに管轄の法務局に提出し、登記の申請をします。

4.登記完了

登記申請から1〜2週間で登記が完了します。
登記の完了後、法務局から登記完了証と登記識別情報通知書が交付されます。

登記は自宅でできる?

相続登記は、「登記・供託オンライン申請システム」を使って自宅からオンラインで申請することも可能です。
一部の提出書類は、後日郵送などで提出しなければならないため、オンラインで完結することは今のところできませんが、ほとんどの作業を自宅で済ませられます。

(画像出典)法務局

自分で相続登記する場合の費用はどれくらい?

自分で相続登記を行う場合の費用と、司法書士に依頼した場合の費用は、どのくらい違うのでしょうか。

自分で相続登記を行う場合の費用

自分で相続登記を行う場合、費用として負担しなければならないのは以下のものです。

必要書類の交付手数料
戸籍の証明書、住民票の写し、印鑑証明書などの手数料
(※)必要書類は相続登記の原因によって変わります。

登録免許税
不動産の価額×0.4%

自分で行う場合の細かい費用は、以下の表でまとめています。

  被相続人の分 法定相続人の分
戸籍謄本 450円~750円 450円
住民票 300円(除票) 300円
印鑑証明書 300円
固定資産評価証明書 300円
収入印紙 登録免許税の税額による

司法書士に依頼する場合の費用

相続登記を司法書士に依頼する場合は、必要書類の交付手数料などに加えて、依頼の報酬がかかります。
相続登記の場合の報酬は、5万円〜15万円を目安に考えるとよいでしょう。

参考までに、日本司法書士連合会が2018年に実施した報酬アンケートによると、相続登記の報酬の平均値は以下のとおりです。

北海道地区 60,983円
東北地区 60,667円
関東地区 65,800円
中部地区 63,470円
近畿地区 78,326円
中国地区 65,670円
四国地区 65,578円
九州地区 62,281円

出典:日本司法書士連合会 司法書士の報酬

目安とした金額よりも安く思えますが、実際は上記の金額に必要書類や登録免許税の金額が別途かかります。

※事務所によっては、事前に登録免許税などと司法書士報酬の合計額を概算として預かるケースがあります。

また、上記の報酬は、登記の対象が土地1筆および建物1棟で、戸籍謄本などの代理請求が5通である依頼から計算されています。

そのため、登記の対象となる不動産の数が多かったり、権利関係が複雑化しており多くの相続人について調査しなければならないようなケースでは、報酬が数万円ほど追加されると考えてください。

司法書士に依頼しないことのリスク

相続登記を司法書士に依頼することは、時間や手間を省ける以外に相続した不動産について漏れなく登記できるなどのメリットがあります。

また、間違った内容で登記申請が行われた場合、法務局のチェックが漏れてしまう「登記の錯誤」が生じることがありますが、司法書士に依頼すればその心配もありません。

間違った内容で登記されると、錯誤抹消や更正登記などの手続が必要になるため、二度手間が発生してしまいます。

司法書士に相続登記を依頼する方法

司法書士に登記を依頼する場合は、司法書士法人や個人の司法書士事務所に連絡をし、相談と見積もりから始めます。
契約が成立すれば、書類収集や登記申請を代行してもらうための委任状を作成します。
相続登記を依頼できる司法書士は、日本司法書士会連合会のホームページなどで探せます。

相続不動産に関するお問い合わせ

相続手続きに必要な書類とは

不動産の相続手続きに必要な書類は、相続登記の原因によって変わります。

ここでは、遺産分割による相続手続きと、遺言による相続手続きに必要な書類を解説します。

遺産分割による相続登記の必要書類

不動産の相続登記は、遺産分割によって行われることが一般的です。

遺産分割の内容によって相続登記をする場合、必要書類は以下のとおりです。

  • 被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印のあるもの)
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 不動産を取得した相続人の住民票の写し
  • 登記申請書

一連の戸籍とは

遺産分割や法定相続などによる相続登記をする場合、被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍(被相続人の生涯にわたるすべての戸籍)が必要になります。
これまで被相続人が入籍および除籍したすべての戸籍を集め、ほかに相続人がいないことを証明するためです。

遺贈(遺言)による相続登記の必要書類

相続人が遺言の内容によって相続登記をする場合、必要書類は以下のとおりです。

  • 遺贈者(被相続人)が亡くなったときの戸籍謄本と、住民票の除票の写し
  • 相続人の戸籍謄本と住民票の写し
  • 登記申請書
  • 固定資産評価証明書
  • 遺言書

遺言には、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。

3種類の中の公正証書遺言と、自筆証書遺言のうち法務局の保管制度によって保管されていた遺言以外は、家庭裁判所の検認済証明書が必要です。

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