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相続した不動産を売却する流れや方法を紹介|揉めない分割方法とは

2024/02/29

親から相続した家や土地を売却したいと考えているものの、必要な手続きや手順がわからず、戸惑っている方も多いのではないでしょうか。

実際、相続不動産の売却では、相続手続きの期限など、通常の売却以上に複雑な条件を考慮する必要があります。もし手順を誤ると、相続人どうしのトラブルや、多額の税金・費用負担を招くことにもなりかねません。

そうならないために、相続した不動産を売却する流れと注意点、トラブルにならない遺産分割方法について解説します。

相続した不動産を売却する流れ

相続関係の手続きには期限が設けられていますが、不動産の相続と売却には時間がかかるため、期限に遅れないよう注意が必要です。

ここで、不動産の相続から売却までの流れを解説します。

  1. 各手続きの期限を確認
  2. 遺言書の確認
  3. 相続財産の確認と相続人の確認
  4. 遺言書がない場合は遺産分割協議
  5. 相続登記(不動産の名義変更)
  6. 相続税の申告と納税
  7. 不動産の売却
  8. 確定申告

1. 各手続きの期限を確認

まず、相続関連手続きの期限を確認しておきましょう。各手続きの期限は以下のとおりです。

  • 限定相続・相続放棄は相続を知ってから3カ月以内
  • 故人の凖確定申告は相続を知ってから4カ月以内(賃貸や自営業をしていた場合)
  • 相続税の申告と納付は相続を知ってから10カ月以内

各手続きの期限から逆算し、間に合うよう、必要書類の手配や相続人間の話し合いのスケジュールを立ててください。

2. 遺言書の確認

遺言書の有無と所在を確認します。遺言書があるかないかで、その後の相続手続きが変わってくるためです。

遺言書がある場合は、遺言書に従って遺産分割を行いますが、ない場合は法定相続人間で「遺産分割協議」をすることになります。

遺言書は、遺品や金庫内、病院や入所施設を探すほか、公証役場での検索や法務局での保管確認が必要な場合もあります。

なお発見した遺言書が、被相続人本人が作成した「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の場合は、開封する前に家庭裁判所の検認が必要です。「公正証書遺言」であれば検認は不要で、遺族が先に開封しても問題ありません。

3. 相続財産の確認と相続人の確認

相続財産と相続人の確認・把握を行います。

相続財産には不動産や預貯金、有価証券、保険金などの「プラスの財産」と、借金やローン残債、被相続人の葬儀費用などの「マイナスの財産」とがあります。マイナスの財産も相続の対象となるため、漏れなく把握が必要です。

被相続人が財産目録を残していない場合には「固定資産税納税通知書」「名寄帳」「登記簿謄本」などを取り寄せ、漏れのないよう確認しましょう。

同時に、「法定相続人」を把握するために相続人の調査・確認も行います。法定相続人の中には、疎遠な親族や、存在を知らなかった親族が含まれるケースもあるため、確実に調査しましょう。

まず故人の本籍地の市区町村役場窓口で、故人が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍を収集します。法定相続人を確定させたのち、相続人全員の戸籍を収集する手順で、法定相続人を確定していく手順を踏むのが一般的です。

連絡の取れない法定相続人がいる場合は、行政書士などの専門家に相談し判断を仰ぎましょう。

4. 遺言書がない場合は遺産分割協議

遺言書のない場合、および遺言書と異なる分割をする場合には、相続人全員による「遺産分割協議」を行います。協議は電話やメール、オンラインでも構いません。

協議の決定には法定相続人全員の合意が必要で、合意があれば、分割の割合や方法は自由に決定が可能です。遺産分割の方法には4種類あり、後の項で詳しく解説します。

法的に必須ではありませんが、合意の内容は「遺産分割協議書」に明記するのが一般的です。口約束だけでは、不動産の権利や税金負担などで後にトラブルになりやすいため、書面に残すことが望ましいです。

もし借金などの負の財産が多く、限定承認や相続放棄をする場合は、相続開始を知ってから3カ月が手続きの期限のため、遺産分割協議も3カ月を目処に済ませましょう。

5. 相続登記(不動産の名義変更)

遺産分割協議で不動産を相続する人が決まったら、法務局で不動産の名義変更の手続きを行います(相続登記)。

不動産の名義が故人のままでは、不動産の売却ができないため、すぐに手放すつもりであっても、いったん相続人による登記が必要です。決定された遺産分割方法に応じて代表者、もしくは共有者全員の名義へ変更手続きを行い、登記を完了させます。

代表者のみが登記することを「単独登記」と呼び、遺産分割協議の分割割合で各相続人が登記を行うことを「共有登記」と呼びます。売却を前提に相続する場合は、代表者1人で単独登記すると、その後の売却をスムーズに進められます。

6. 相続税の申告と納税

故人の遺産総額が基礎控除額を上回る場合には、相続税の申告が必要です。

相続税の申告は、故人の住居地を所轄する税務署へ相続を知った翌日から10カ月以内に行います。申告・納付期限に遅れると、ペナルティ(無申告加算税)が課されるため注意が必要です。

相続税の課税対象額と基礎控除額は、以下の計算式で求められます。

  • 相続税の課税対象額=正の財産ー負の財産ー基礎控除額
  • 基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人数)

遺産総額と税額を算出するためには、不動産の「相続税評価額」を調べなければなりません。このとき建物の評価額は固定資産税評価額を参照し、土地の評価額は「相続税路線価」から算出します。

なお、国税庁のサイトには、相続税の申告が必要かどうかを判定できる「相続税の申告要否検討表」や「国税庁 相続税の申告要否判定コーナー」が掲載されています。遺産を表に当てはめて確認するとよいでしょう。

7. 不動産の売却

不動産の登記が完了したら、売却手続きを開始できます。

不動産会社と媒介契約を結び、仲介を依頼したら、物件の価格を決めるために不動産の調査を行います。そして買い手が見つかったら、登記者が買主と売買契約を締結します。

なお、相続不動産の売却の流れは、単独名義か共有名義かによって異なります。代表者名義(単独名義)の場合は、契約手続きを1人で進められるため、手続きは簡便です。一方、共有名義の場合は、売却手続きに全員の書類が必要となり、各々契約への立ち会い(もしくは委任状)も必要です。

不動産売却時の注意点については、後の項で詳しく解説します。

8. 確定申告

不動産売却の利益(譲渡所得)があった場合と、譲渡所得の非課税の特例を利用する場合には、売却翌年の2月16日〜3月15日に確定申告を行う必要があります。

譲渡所得は次の計算式で算出された額です。

譲渡所得=売却価格ー(取得費+譲渡費用)

譲渡所得が生じ、売却益を相続人で分割した場合は、売主以外の相続人全員にも確定申告が必要です。

そのほか、後述する相続不動産売却における税金控除の特例を受ける場合は、確定申告が必要です。特例は相続人全員が適用を受けられるため、受ける場合はそれぞれが確定申告を行います。
相続不動産に関するお問い合わせ

相続不動産の売却は換価分割がおすすめ?

相続不動産を売却し、相続人で分割する方法は4通りありますが、一般的には後々トラブルになりにくい「換価分割」がおすすめです。

ここでは4種類の遺産分割方法と、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

分割方法 概要 メリット デメリット 適しているケース
現物分割 相続財産を現金化せずそのまま分配
  • 名義変更や税金支払いが簡単
  • 公平な分割が難しい
  • 分けられる相続財産が複数あるケース
  • 財産どうしの価値に差が少ないケース
代償分割 特定の相続人が不動産を相続し、他の相続人に代償金を支払う
  • 公平性を保てる
  • 相続した人に代償金を支払う財力が必要
  • 相続人のみに税金支払い義務が生じる
  • 代償が贈与扱いになることもある
  • 売却せず不動産に相続人が住み続ける・事業継承するケース
共有分割 相続する財産を、形を変えず均等に複数人で共有
  • 公平に分割できる
  • 売却時に全員の同意が必要
  • 遺産分割協議がまとまらないケース
換価分割 財産を売却し現金化してから、相続人間で分割
  • 1円単位で公平に分割できる
  • 納税資金に充てられる
  • 不動産維持管理の固定費が不要
  • 売却条件の保証がない
  • 仲介の場合に手数料がかかる
  • 譲渡所得税がかかる場合がある
  • 遺産の多くを不動産が占めるケース
  • 売却しないと相続税を支払えないケース
  • 不動産の維持管理費の支払いが負担なケース
  • 誰も不動産を継ぐつもりがないケース

現物分割

現物分割とは、相続財産を現金化せず、現物のまま分配する方法です。

遺産分割協議で「妻は不動産、長男は車」といった具合に、誰が何を相続するかを決めて分配します。

現物分割のメリットは、名義変更手続きが簡単なことです。デメリットとしては、遺産ごとの価値が異なるため、公平な分割がしづらいことが挙げられます。

登記や税金の手続きがシンプルで分配が容易なため、現物分割は実際の遺産分割で最も多く利用されている方法です。ただし後に資産価値の変動や税金負担などで不公平が生じた際に、相続人間で揉める原因にもなるため注意が必要です。

代償分割

代償分割とは、特定の相続人が不動産を相続する代わりに、他の相続人に代償金を支払う遺産分割方法です。

代償分割のメリットは、相続人間で比較的公平性を保てることです。デメリットは、相続した人に代償金を支払えるだけの財力が必要なことです。また、相続人のみに税金の支払い義務が生じることや、代償に現金以外の財産を渡すと、贈与とみなされる可能性があることもデメリットに挙げられます。

代償分割は、不動産に相続人が住み続ける場合や事業を継承する場合など、当面売却を考えていない場合に有効な分割方法といえます。

共有分割

共有分割とは、相続する不動産などの財産を、形を変えず均等に複数人で共有する分割方法です。不動産を一定割合で分割し、相続人それぞれが登記を行います。

共有分割のメリットは、各相続人に財産価値ベースで均等に分配できることです。

デメリットは、不動産を将来売却する際に、相続人全員の同意が必要な点です。たとえば売却の合意形成はできても、価格で合意を得られなければ売却ができません。また、仮に共有持ち分のみを売却したくても、買い手が見つかりにくく、登記変更などの手続きも複雑になってしまいます。

共有分割を選択すると、その場はお互い納得しやすいですが、後々売却が困難になります。共有分割は遺産分割協議がまとまらなかった場合の最終手段と捉えるほうがよいでしょう。

換価分割

換価分割とは、不動産などの財産を売却し現金化してから、相続人間で分割する方法です。

換価分割の最大のメリットは、1円単位で公平に分割できることです。代償分割との違いは、売却益を納税資金に充てられること、売却後は不動産維持管理の固定費が不要になることです。

デメリットとしては、希望の条件で不動産を売却できる保証がないこと、仲介手数料や譲渡所得税がかかる場合があることが挙げられます。

とはいえ換価分割は、遺産のほとんどを不動産が占め、売却を前提としている場合には最も合理的な分割方法です。特に相続人が誰も不動産を相続するつもりがない場合や、不動産の維持管理費を負担したくない場合、相続税の支払いが難しい場合に有効です。

不動産売却にかかる諸費用は、所有期間や評価額によって異なるため、不動産の売却に強い専門家に相談し、概算を把握することをおすすめします。

相続不動産を売却するときに知っておくべきこと

相続不動産の売却には、遺産の分割方法以外にも注意すべき点があり、対処を誤ると後々相続人間のトラブルや、多額の税金負担が生じる可能性もあります。

ここで相続不動産の売却時に知っておくべき注意点を解説します。

不動産の売却活動には時間と手間がかかる

家の売却益で相続税を納付する場合には、相続開始から10カ月以内に売却・現金化しなければなりませんが、不動産の売却には3カ月〜半年程度かかるのが一般的です。

不動産の売却には、物件購入時の重要事項説明書や登記簿謄本、土地測量図などの書類が必要で、手配するには多くの時間と手間がかかります。土地の境界線が確定していないことが判明したら、売却前に測量も必要です。

必要な手続きや手順に不安があれば、不動産会社でも教えてもらえるので、相談してみるとよいでしょう。相続税の納税期限までに売却できるよう、売却を得意とする不動産会社を探しておくこともポイントです。

相続登記が義務付けられる

2024年4月1日からは、不動産の相続登記が義務付けられます。2024年3月31日までの相続であっても、3年の猶予期間つきで義務化の対象となる点に注意が必要です。

相続で不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に、相続登記をしなければならず、もし行わなければ、10万円以下の過料の対象となります。

登記が義務付けられた背景には、所有者不明の土地が増え、周辺環境悪化の原因や公共工事・災害復旧の妨げとなっている現状があります。代々登記をされずにきた土地が、相続を繰り返すうちに誰にも管理されなくなり、所有者不明となっているのです。

相続登記には単独登記と共有登記がありますが、売却がスムーズな単独登記がおすすめです。遺産分割協議を早くまとめようと「何となく」共有にしてしまうと、いざ売却しようとしたときに意見が合わない可能性があります。

登記の相談と手続きは司法書士に依頼するのが一般的ですが、不動産会社でも紹介してもらえるので、売却と併せて相談してみましょう。

単独登記の換価分割で贈与とみなされる可能性がある

相続してすぐに不動産を売却する場合に、便宜上代表者1人が単独登記を行い、売却後に換価分割するケースも多いでしょう。この際に、現金の分配が贈与とみなされる場合があります。

税務署から贈与と判断されやすいのは、売却益の分配が遺産分割の一環であると証明できないケースや、相続から時間が経って分配されたケースです。

分配を贈与とみなされないためには、遺産分割協議書の書面に下記のように、換価分割する旨と分割割合を明記し、速やかに分配を実行することが重要です。

「相続人〇〇は前項の不動産を速やかに売却し、売却代金から売却にかかる一切の費用を控除した残金を、以下の割合で分配する 長男〇〇割 長女〇〇割」

遺産分割協議書の記載方法については、行政書士などの専門家に確認すると安心です。

取得費が不明だと譲渡所得税が高額になりやすい

相続した不動産の「取得費※」が不明の場合には、売却益(譲渡所得)にかかる譲渡所得税が高額になる可能性が高くなります。

取得費がわかる書類が見つからないなど取得費が不明の場合には、取得費が概算で譲渡価額の5%しか認められません。課税される譲渡所得は「売却価額ー(取得費+譲渡費用)」のため、取得費を計上できる場合よりも、譲渡所得税が高額になりやすいのです。

相続不動産の所有期間は、故人の購入日を引き継ぐため、その間に評価額が高騰していれば、支払う税金が想像以上に高くなることも考えられます。

もし取得費を証明できる書類を紛失してしまった場合は、購入時の不動産会社に問い合わせましょう。または、通帳の出金履歴、住宅ローンの契約書などから、取得費証明に代替できる資料を、可能な限りそろえることをおすすめします。

※取得費:土地と建物の購入代金、建築代金、購入手数料、設備費など。建物部分は減価償却費相当額を差し引いて計算する。

3年以内に売却すれば税金の特例を利用できる

相続不動産は、相続から3年以内に売却することで、要件を満たした場合に譲渡所得にかかる税金を節税できる特例が2つあります。

1つ目は「相続税の取得費加算の特例」です。相続発生から3年と10カ月以内に相続不動産を売却する場合、譲渡所得税の課税所得を計算する際に、売却不動産の相続税を取得費に加算できる特例です。

適用のために満たすべき要件は以下のとおりです。

相続もしくは遺贈によって財産を取得していること
財産を取得した人に相続税が課税されていること
相続税の申告期限から3年を経過する日までに相続した財産を売却していること

取得費を多く計上できるため、課税所得を抑えられる分だけ節税できます。短期間で相続税と譲渡所得税の両方がかかることによる、相続人の税負担を軽減するために設けられた特例です。

参考:国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

2つ目の特例は「相続空き家の3,000万円特別控除の特例」です。要件を満たした場合、相続から起算して3年後の12月31日までに相続空き家を売却すると、譲渡所得金額から最大3,000万円を控除できるというものです。

旧耐震基準の空き家の放置を防ぐために設けられた特例で、以下の適用要件すべてを満たすことが必要です。

【相続した空き家の要件】

  • 家と土地を一緒に相続している
  • 1981(昭和56)年5月31日以前に建築された一戸建てである
  • 故人が相続開始直前まで1人で住んでいた
  • 相続開始から売却まで居住・賃貸・事業に使っていない

【売却に関する要件】

  • 相続してから3年後の年末までに売却した
  • 第三者への売却である
  • 売却金額の合計が1億円以下である
  • 耐震リフォーム、または建物を取り壊して売却した

この特例では、これまでは売主である相続人が、空き家の耐震リフォームまたは取り壊しを行う必要がありました。しかし2023年度の税制改正で適用要件が緩和され、譲渡の翌年2月15日までに、購入者側が耐震リフォーム・取り壊してもよいと変更されています。

参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

不動産の相続では、かかる税金や利用できる特例が、物件や売却の条件により異なります。自分はどの特例を利用できるのか、どの特例を利用するのが得なのか、査定価格をもとに専門家に相談することをおすすめします。

土地家屋調査士や行政書士と連携している不動産会社なら、測量や相続登記についてもワンストップで相談が可能です。
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