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市街化調整区域の不動産でも相続放棄できる?相続後のリスクと判断基準

2026/02/25

相続放棄のイメージ

市街化調整区域にある不動産を相続すると、活用の難しさや管理の負担から、相続放棄を検討する人もいます。建築や用途に制限があるため、売却や活用の選択肢が限られ、思わぬコストや手間がかかることもあるからです。

一方で、不動産の状況によっては、相続放棄が必ずしも最善の判断とは限りません。後悔のない判断をするには、相続放棄の可否だけでなく、売却の可能性や相続後に生じるリスクについても整理しておくことが大切です。

市街化調整区域の不動産は相続放棄できる?

市街化調整区域とは、自然環境や農地の保護を優先し、住宅を含めた建築・開発を抑制している地域のことです。新たな建物の建設や建て替えにつながる行動が厳しく制限されており、土地の用途変更から再建築にいたるまで、自治体の許可を得る必要があります。

そのため、市街化調整区域の不動産は相続をしても活用手段がなくて困る、と考える人も多いでしょう。

結論として、市街化調整区域の不動産は相続放棄が可能です。相続放棄は種類や価値を問わずすべての財産を相続しない行為であり、不動産の立地に関する条件の定めはありません。

ただし、後ほど詳しく解説しますが、市街化調整区域の不動産を相続放棄をしても、占有していると判断された場合は不動産の管理義務が生じる可能性があります。

該当の不動産にかかわったことがある方は、相続放棄をしても引き渡しが完了するまでは、手入れや修繕などの対応を行う可能性があるのです。相続放棄をしたからといって、不動産の管理から解放されるとは限らない点には注意してください。

市街化調整区域の不動産を相続放棄した場合のリスク

市街化調整区域と市街化区域
不動産の管理が難しい場合や相続を避けたいと考える場合は、相続放棄をするのも1つの手段です。

しかし、相続放棄にはさまざまなリスクが存在します。相続放棄をした場合に起こり得るリスクについて詳しく解説します。

預貯金などの財産を受け取る権利がなくなる

相続放棄は財産の相続権をすべて放棄する法的な手続きです。相続放棄をした場合、市街化調整区域にある不動産だけでなく、預貯金や株式など自分にとってプラスになる財産も受け取る権利がなくなってしまいます。

相続放棄は原則撤回することができない

相続放棄は原則として撤回ができません。相続放棄の申請が受理された後で高額の財産が発覚したとしても、それらの財産を受け取る権利はないため、相続は不可能です。

「市街化調整区域の不動産を相続したくない」という理由だけで、すぐに相続放棄を決断するのはリスクが高いといえるでしょう。

相続放棄しても不動産を管理する必要がある

市街化調整区域の不動産を手放すために相続放棄をしても、管理義務が解消されるとは限りません。

相続放棄における管理義務について、民法940条で以下のように定められているためです。

相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

引用:民法 「 e-Gov 法令検索」

「現に占有している」というのは、民法180条の「事実上支配している状態」を指し、該当の不動産に住んでいる、土地活用して利益を得ていた場合などが該当します。相続人が不動産を占有していたとみなされると、相続放棄をしていても不動産の管理を行う可能性があります。

定期的に草刈りや見回りするなどの行為が、管理意思として「占有」とみなされることがあるのです。占有の判断は非常に難しいため、自身が該当するかは司法書士や弁護士などの専門家と相談するとよいでしょう。

相続の放棄により親族とトラブルになる可能性がある

市街化調整区域にある不動産は使い勝手が悪く、ほかの相続人も不動産の相続は避けたいと考えているケースがあります。

全員が相続放棄すれば法的な整理はスムーズですが、放棄のタイミングや意思疎通がうまくいかない場合、不動産の扱いを巡ってトラブルに発展する可能性があるのです。

また、相続放棄により別の親族に不動産の相続権が移ると、以下のような費用を負担することになります。

  • 不動産の管理義務(倒壊を防ぐための維持費・修繕費など)
  • 固定資産税の支払い
  • 不動産を売却するための各種手続き

市街化調整区域の不動産は維持や売却を問わず、費用が発生する可能性が高いため、相談なく相続放棄するのは避けましょう。相続人が全員とも相続放棄した場合は、家庭裁判所を通じて「相続財産管理人」が選任されますが、別途申立ての手続きや費用が発生し、必ずしも円滑に解決できるとは限りません。
相続不動産に関するお問い合わせ

市街化調整区域の不動産でも売却は可能

では、市街化調整区域の不動産を相続しても活用する術がない場合、どう対処すればよいのでしょうか。

手放すにはさまざまな方法がありますが、不動産会社へ売却するのが比較的簡単な方法といえます。一般的な不動産に比べて売却は難しいですが、不可能ではありません。

市街化調整区域であっても売却できる可能性が高い不動産の特徴を紹介します。

市街化区域に編入される可能性がある土地

現在は市街化調整区域でも、将来的に市街化区域に編入される土地は売却しやすいでしょう。市街化調整区域の不動産は地価が安く、買い手にとって先行投資で購入しやすいメリットがあるためです。

市街化区域に接する土地や一団の土地(登記上は複数に分かれているけれど、実際は1つにまとまっている土地)などは、市街化区域に編入される可能性があります。

ただし、市街化調整区域から市街化区域への編入は自治体によって基準が異なるため、当該地区の自治体の案内や、今後の都市開発に関する情報収集が必要になります。

福祉施設への転用が認められる土地

福祉施設や医療施設は、生活に必要不可欠な公益性の高い施設です。そのため、建設するための開発許可は、ほかの施設とは異なる特別な基準が定められています。

自治体によって違いはあるものの、概ね以下の要件を満たす土地であれば福祉施設への転用を認められる可能性が高いです。

  • 市街化区域・既存集落から一定以内の位置にある
  • 当該施設の敷地面積が一定以下で、地域の需要を考慮した規模である
  • 当該市町村の土地活用方針に支障がない

福祉施設への転用が認められる土地は需要が高く、市街化調整区域でも売却できる可能性が高まります。地域における公益性や福祉の需要が高い場合は、事前に自治体などの案内を十分に確認しましょう。

車の交通量が多い土地

市街化調整区域は開発行為に制限があると紹介しましたが、実は屋根のない、いわゆる「青空駐車場」は開発行為に該当せず、駐車場運営にあたって自治体の許可が不要なケースがあります。

特に車の交通量が多い道路に隣接する土地は、駐車場として運営した際に利益が出る見込みが高いでしょう。また、近隣に店舗や工場がある土地も、同様に一定の需要が見込めます。

近隣に農地が多い土地

近隣に農地が多い場合は、農地拡大のために近隣の農家が購入を検討する場合があります。自身が保有する土地面積が増えることで収穫が増加し、売上にも良い影響をもたらすためです。

もちろん不動産の譲渡には双方の合意が必要なので、了承を得た場合に限ります。必ずしも譲渡できるとは限らない点にはご注意ください。

市街化調整区域の不動産を相続放棄すべきかの判断基準

相続放棄は一度受理されると原則として撤回できないため、市街化調整区域の不動産を手放すときは慎重に判断する必要があります。

この章では、市街化調整区域の不動産を相続放棄すべきかの判断基準をご紹介します。

その地域で活用できる方法がないか

市街化調整区域の土地であっても、農地として利用可能な場合や、医療・福祉施設、公共施設などの用途に転用可能な場合は、売却先や引き取り手が見つかる可能性があります。

一方で、立地条件や周辺環境を考慮しても活用の選択肢がほとんどなく、自治体の方針とも合致しない場合は、管理負担が長期化するおそれがあります。相続放棄を検討する際は、「第三者へ引き継ぐ活用方法があるか」という視点で、土地の立地や周辺状況を冷静に確認することが重要です。

買い取ってくれる不動産会社はないか

不動産を手放す方法として、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」という手段があります。仲介での売却よりも安価にはなるものの、買い手を探す必要がないため契約成立まで短期間で済み、早く手放したい場合に適した方法です。

ただし、市街化調整区域にある不動産は、買取の対象外とする不動産会社も存在します。買い取りしてくれる不動産会社がいる場合は相続を行い、調べたものの会社が見つからないときは相続放棄をする、という2軸で考えるとよいでしょう。

「相続土地国庫帰属制度」が利用できないか

相続土地国庫帰属制度とは、相続した土地を代わりに国が引き取る制度です。

何らかの理由で活用・管理が難しい土地や建物を手放したい、という相続人は多いため、放置されることで近年増加し続けている「所有者不明土地(不動産登記簿により所有者が判明しない土地、または所有者と連絡が付かない土地)」の発生を防ぐ目的で、2023年4月から導入されました。

参照:法務省「相続土地国庫帰属制度について」

ただし以下の土地は、相続土地国庫帰属制度の申請自体ができません。

  • 建物がある(解体・撤去が必要)
  • 担保権(抵当権を含む)や使用収益権(賃料や農作物など、定められた使用により収益を得る権利)が設定されている
  • 他人の利用が予定されている(道路や墓地など、今後も土地の所有者以外が使用する土地)
  • 土壌汚染がある
  • 隣家との境界線が明らかでない

また、申請の要件をクリアしても、審査の結果、不承認となるケースもあります。不承認事由としては、以下の5つが定められています。

  • 一定の勾配や崖(勾配30度以上+高さ5m以上)がある
  • 土地の敷地内に管理・処分の妨げになる物がある(樹木、廃屋、放置車両など)
  • 地下に除去しなければいけない物が存在する(古い水道管、産業廃棄物など)
  • 管理・処分のために隣接する土地の所有者と争訟が発生する
  • 土地の管理・処分に過分な費用や労力がかかる(土砂崩れが発生する、森林の伐採などで国の整備が必要な場合など)

参照:法務省「相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件」

上記に該当しない土地であれば、市街化調整区域でも相続土地国庫帰属制度を利用できる可能性があります。活用が難しい土地だからといって、すぐに相続放棄を選択するのではなく、売却や国・自治体への寄付などの選択肢も検討してみましょう。

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