住宅ローン滞納時の相談先とは。滞納し続けた場合の結末と対処法を紹介
新型コロナウイルスの影響もあり、フラット35などを運営している独立行政法人住宅金融支援機構のデータでは、コロナ禍により住宅ローン返済に関する相談が増えているようです。様々な要因で収入が減ってしまい、住宅ローンの返済に窮することはよくあります。返済金を滞納し続けると最終的には競売にかけられ、住まいを失ってしまいます。
本記事では、住宅ローンを滞納した方が今後取るべき行動として、
- 住宅ローンを滞納した際の相談先
- 住宅ローンの滞納を放置するとどうなるか
- 住宅ローンの返済がつらいなら任意売却を検討する
について紹介します。
住宅ローンを滞納した際の相談先
住宅ローンを滞納した、または滞納しそうな際の相談先として以下のような機関があげられます。
- 借入先の金融機関
- 借入先以外の金融機関
- 保険会社
- 弁護士
- 不動産会社
どれか一つを選択するのではなく、複数に相談するのも良い方法です。
借入先の金融機関
まず始めに相談したいのが、借入先の金融機関です。返済を遅らせてもらえないか、金利を引き下げてもらえないか、一定期間返済額を減らしてもらえないかなどを相談します。これによって、返済が可能になれば、一番手間が少なくて済みます。
借入先以外の金融機関
借入先の金融機関では、返済条件が厳しく、滞納が続いてしまいそうな場合には、他の金融機関への借り換えを相談してみましょう。
今は低金利時代のため、住宅ローンを組んだときよりも金利が下がっている可能性があります。借り換えをすることで、金利を下げることができたり、返済期間を長くしたりすることができれば、月々の返済額を減らすことができます。
保険会社
住宅ローンを組むとき団体信用生命保険(団信)に加入していると、保険金が下りる可能性があります。加入している団信の種類によりますが、収入が減った原因が高度障害や八大疾病だった場合は、保険が下りる可能性があるので、保険会社に相談すると良いでしょう。
また、団信以外にも、住宅ローン返済支援保険、就業不能保険、収入保障保険など減収した際に適用される保険に加入していないか確認することをおすすめします。
弁護士
弁護士に相談することで、法律家の立場から専門的なアドバイスをもらえます。不動産を手放して住宅ローンを返済する方法や、不動産を手放さずに住宅ローンを返していく方法など、いろいろな事例を見てきた法律家からのアドバイスをもらえるので、自分が置かれている状況を客観的に見つめ直すことができます。
不動産会社
自力で住宅ローンの返済が難しいと判断した場合、不動産を売却して清算するという方法があります。
不動産会社に行き、不動産の売却を相談しましょう。
住宅ローンの残高より、不動産の売却金額のほうが高ければ、問題なく売却できます。つまり売却代金で住宅ローンを完済すれば良いわけです。
一方、住宅ローンの残高より、不動産の売却金額のほうが低い場合、少し手間がかかります。金融機関に相談をして、「任意売却」という方法で不動産を売却します。不動産売却後も住宅ローンが残るので、自力で返していく必要があります。
任意売却は複雑なので、まずは不動産会社に相談してみると良いでしょう。
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住宅ローンの滞納を放置するとどうなる
住宅ローンの返済を放置すると、最終的には不動産の競売となり、強制的に立ちのきを要求されます。それでも住宅ローンが返済できない場合は、自己破産の可能性もあります。
この章では、滞納から自己破産までを時系列で紹介します。なお、機関は借入先の金融機関や保証期間によって数カ月ずれる可能性があります。
滞納から数日後
金融機関から「口座からの引き落としができなかったため、〇月〇日までにご入金をお願いします。」といった第一報が入ることがあります。1日でも滞納すると遅延利息が発生しますので、連絡がなかった場合でも、滞納に気付いた段階で1日でも早く返済するようにしましょう。
滞納から1~2カ月後:督促状
金融機関から「督促状」が届きます。この段階では、まだ金融機関としても「入金を忘れているだけかもしれない」という目で見てもらえます。この段階で返済すれば大事になることはないので、督促状が届いたら至急返済することが重要です。
滞納から2~3カ月後:催告書
「督促状」が届いても返済がないと、金融機関としては「返済されない」可能性を考えはじめます。数回の「督促状」でも返済がないと、「催告書」を送付します。
催告書は、最後通告のようなもので、これを無視すると法的手続きになります。といった内容が書かれています。
3カ月目にはブラックリストに名前が載ってしまい、今後の新規借入が非常に困難になります。
この段階で返済ができない場合、不動産を手放さなければいけない可能性が高くなります。この段階になる前に、金融機関や不動産会社に相談しておくことをおすすめします。
滞納から5カ月後:法的手続き
「期限の利益喪失」通知と一緒に一括請求書が届きます。期限の利益喪失とは、住宅ローンで長期間にわたって返済できる権利が失われることです。よって、残りの住宅ローン返済額を一括して支払う義務が発生します。
それから間もなくして、「代位弁済通知」が届きます。代位弁済通知とは、返済できなくなった債務者に代わって保証会社が金融機関に残りの返済額を一括して返済したことを通知するものです。
これによって、債務者は金融機関ではなく保証会社に一括返済する義務が生じます。
滞納から6カ月後:競売の準備
「担保不動産競売開始決定」の通知が届き、裁判所が競売の手続きを開始したことがわかります。
この通知が来ると、不動産は差し押さえられ、その情報は登記簿謄本にも記載されるため、周知の事実となります。
このころになると、裁判所の職員が現地調査に来て、競売の基準金額の査定を始めます。事前に調査日をお知らせする通知が届くので、都合が悪ければ連絡する必要がありますが、もし当日不在の場合でも強制的に調査されてしまいます。
滞納から12カ月後:競売にかけられる
現地調査が終わり競売の準備が整うと、「期限入札の通知」が届き、競売がスタートします。該当する不動産を買いたい人が裁判所に金額を伝え、一番高い金額を提示した人が落札となります。
その際、競売情報はインターネットに公開されるため、誰でも閲覧することが可能になります。そのため、近隣の住民や親族などに競売にかけられることが知られてしまうかもしれません。また、公開された競売情報をもとに、入札検討者が物件を下見するケースも多く、普段見慣れない人が行き来することで、周辺で噂になってしまうかもしれないため、注意しなければなりません。
また、競売が完了すると、債務者は強制的に立ちのきを要求されます。
住宅ローンの支払いがつらいなら任意売却を検討する
住宅ローンの支払いがつらいなら、不動産会社に相談をして任意売却を検討しましょう。
不動産を売却するなら、強制的に安く売られてしまう競売よりは、任意売却を選んだほうがメリットがたくさんあります。
この章では、任意売却について紹介します。
任意売却とは
任意売却とは、不動産を売却しても住宅ローンが完済できないときに、借入先の金融機関に了承を得て、債務者主導のもと不動産を売却する方法です。
なぜ金融機関の了承が必要かというと、住宅ローンには、不動産に担保として抵当権が設定されます。本来不動産を売るときには住宅ローンを完済して抵当権を解除してからでないと、売却できないからです。
よって、本来売却できない不動産を特例で売却して、一定の条件のもと抵当権を解除してもらいます。
金融機関から了承を得るためには、不動産会社との連携も必要になってきますので、任意売却が得意な不動産会社を選ぶのも重要になります。
任意売却のメリット
任意売却には競売と比べて、以下のようなメリットがあります。
- 自分の意志で売却できる
- 売却者の情報を非公開にできる
- 競売に比べ、高い金額で売却できる可能性が高い
- 引き渡し日を相談して決められる
- 住宅ローンの残債を分割で支払うことができる
- 不動産売買の諸経費や引っ越し費用を、売買代金から捻出できる
競売と比べると金銭的にも精神的にもかなりゆとりができるのではないでしょうか。
任意売却のデメリット
任意売却には以下のようなデメリットがあります。
- 数カ月滞納していないと任意売却できないことが多いため、結果的にブラックリストに載ってしまうことも多く、以後数年間はクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりできなくなる
- 金融機関、連帯保証人の同意が必要になる
- 競売にかけられるまでに売却する必要があり、販売活動に参加しなければならない
- 売却できたら、購入者の希望ですぐに引っ越さなければならないことがある
- 任意売却を得意とする不動産会社を選ばないと、競売になってしまうケースもある
上記のようなデメリットはあるものの、競売になるよりはいいとのことで 任意売却を利用される方は多いです。
任意売却の相談は早めにしておく必要があります。競売が迫っていると思うような売却活動が出来ない可能性が高いです。まずは任意売却の実績がある不動産会社に相談してみましょう。
家を売っても住宅ローンが残るときの対処法についてはこちらのコラムでも詳しく紹介されています。
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