任意売却のデメリットは7つ!メリットや利用できないケースも紹介
住宅ローンが何らかの理由で支払いできなくなった場合、解決策のひとつに任意売却があります。
任意売却は競売を回避できるというメリットがありますが、当然デメリットも存在します。
ここでは、任意売却を利用した場合のデメリットをおさえつつ、メリットや任意売却を利用できないケースについて解説します。
任意売却のデメリットは7つ
本来であれば任意売却を使わない状況であることが望ましいですが、万が一利用を検討しなければならない場合に備え、デメリットをしっかり把握しておきましょう。
期限がある
任意売却は競売が開始される日までに完了させる必要があります。競売手続きが始まってしまうと任意売却ができませんので注意が必要です。
売却にかかる期間は一般的に3〜6カ月です。そのため競売が開始されるまでの期間から逆算して任意売却の手続きを進めていくことが必要です。
個人情報に傷がつく
任意売却を利用するということは、「返済計画がうまくいかなかった」ということになります。
金融機関は支払いの遅延や自己破産といった情報を閲覧することができ、任意売却を利用した情報も確認ができます。
そのため、任意売却後はクレジットカードが作れなかったり、ローンが組めなかったりします。
残債が消えるわけではない
任意売却したとしても、残債がすべて消えるわけではありません。
家の売却金で住宅ローンを返済した後、不足分は継続して返済していく必要があるため、金銭的な苦労は残ります。
しかし、債権者は任意売却後の返済方法の相談に乗ってくれるため、これまでよりは負担が軽くなる可能性が高いです。
売却額を決めることができない
売主は1円でも高く売りたいと考えるのが一般的です。引っ越し費用や不用品の処分費なども売却金額で支払いたいため、売り出し時の売却金額は比較的高めに設定される傾向にあります。
しかし、任意売却は債権者が売却金額を決めるため、売主は価格設定ができません。
そのため、買主が提示する購入条件も売主自身が判断することができず、債権者に相談する必要があります。
不動産会社との媒介契約を選択できない
不動産売却時には、不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約には一般媒介、専任媒介、専属専任媒介契約の3種類があります。媒介契約の内容はそれぞれ異なり、売却の目的や不動産の状況によって売主が選択できます。
しかし、任意売却の場合は原則一般媒介契約の選択ができません。一般媒介契約は複数の不動産会社と媒介契約を結べる契約です。
これは、販売委託会社を1社に絞った方が、スムーズに売却できるからだといわれています。
好立地でない限り、売りにくい
不動産売買では買主が売主に売却理由を尋ねることはよくあります。
売却理由が任意売却だと知った場合、その家で新生活をスタートすることを躊躇する人もいます。
また、通常売主は契約不適合という責任をある一定期間負います。
たとえば雨漏りやシロアリの被害などを買主が引き渡し後に発見した場合、契約書に記載されている期間内であれば売主に補修などの請求ができます。
しかし、任意売却の場合はそもそも売主に資金の余裕がない場合が多く、泣き寝入りか契約不適合自体が免責となります。
そのため、買主にとって大きなリスクを抱えた不動産となり、よほど好立地でない限りは販売が長期化することが多いです。
心理的ストレスが大きい
任意売却の販売が長期間となってしまい、その間の債権回収会社から連絡がくるような生活状態は大きなストレスです。
安心できるはずの家がつらい場所になってしまうことにもなりかねないという点は、非常に大きなデメリットといえるでしょう。
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任意売却はメリットも多い
任意売却は多くのデメリットがある一方で、当然メリットもあります。
住宅ローンの返済で悩む生活環境を大きく変えられる可能性があります。ここでは任意売却の代表的なメリットを3つ紹介します。
競売に比べると高値で売却できる
競売物件となると入札で価格が決められてしまい、地域や物件状況にもよりますが相場の約60〜70%で落札されることが多いといわれています。
一方、任意売却は市場に売り出します。そのため、相場と同等の価格で売却できることが期待でき、残債額も大きく減らせます。
任意売却後は無理のない返済計画にしてくれる
任意売却を利用する時点で生活が困窮している可能性が高く、通常の住宅ローン返済額では生活を維持できない可能性があります。
任意売却後は、債権者が今後の支払い方法について相談に乗ってくれます。利息を調整することで月々の返済額を減らし債務者の負担を軽減してくれます。
無理のない返済計画は債務者の生活安定につながるため、任意売却利用者にとっては大きなメリットのひとつといえるでしょう。
プライバシーが守られる
競売になった場合は個人情報が公開され、氏名や住宅ローンの滞納といった情報が誰でも確認できるデータベースに記載されてしまいます。
その点、任意売却は買主以外には個人情報が公開されることがなく安心です。
ただし、前述したとおり金融機関のデータベースには任意売却の利用情報が残ってしまいますので、注意が必要です。
任意売却ができないケースとは?
ここまで任意売却のメリットデメリットについて記載していますが、すべての債務者が任意売却を利用できるわけではありません。
住宅ローン滞納の最終手段はあくまでも競売となっており、任意売却は競売になる前の救済措置のような位置づけです。
そのため、任意売却がどのようなケースになると利用できなくなるのかという点を確認しておくことが重要です。
競売が開始された
前述した通り、任意売却は競売開始の前日までしか利用することができません。そのため、高値で何年も売れるまで待つという手段は使えないことになります。
通常の不動産売買は売主の言い値でスタートすることができ販売期間も自由に設定できますが、任意売却はスピード重視で売却するのが理想という点を把握しておきましょう。
債権者の同意がない
任意売却を行うことは債権者側にもリスクが生じるため、債権者の同意が得られない場合は任意売却を利用できません。
そのため、任意売却をそもそも認めていない金融機関も存在します。
また、任意売却の相談はできても、住宅ローンを借りてからの日が浅かったり、住宅ローン残高が多く残っていたりする場合などは、同意を得られないおそれがあります。
居住者以外が住宅ローンを支払っている
居住者以外が住宅ローンを支払っているケースも任意売却の利用が難しくなります。
たとえば、離婚した夫婦で元夫がローンを支払っているが家には元妻が住んでいる、といったケースです。
このケースでは、居住者の立ち退きがうまくいかないことが多いです。離婚協議のうえでこのような生活形態になっているのであればなおさらです。
自分以外の人間から同意をもらう必要があるときは、早めの行動が求められます。
買い手がつかない
任意売却は市場に売り出して終わりではありません。競売が開始されるまでに買い手がついて売買契約を結ぶ必要があります。
そのため、売り出してはいるものの買い手がつかなければ意味がありません。
売り出し価格が相場より高かったり、立地や物件の状態が悪かったりすると買い手が付かない可能性は十分にあります。
このようなケースも考慮して、繰り返しにはなりますが早めに行動する必要があります。
まずはプロに相談を
任意売却の利用を検討する時点で、金銭的な問題を抱えていることがほとんどです。
任意売却をうまく利用することで抱えている債務トラブルを解消し、新しい生活をスタートすることができます。
しかし、任意売却は万能な手段ではなく利用方法を間違えると競売にまで発展してしまう可能性があります。また本文中で何度をお伝えしましたが、さまざまなケースを考慮して早めから行動する必要があります。
任意売却を検討した時点ではなく、住宅ローンの返済が困難になった時点で一度プロに相談し、正しい任意売却の利用方法を知ることから始めましょう。
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