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市街化調整区域で宅地転用する方法|家を建てる条件と必要な手続きを解説

2026/01/29

市街化調整区域にある農地は、活用が難しい土地だと思われています。確かに宅地への転用は容易ではありませんが、条件や用途次第で検討できる余地があります。

重要なのは、どのような行為に対して法的な制限がかかるのかを正しく理解することです。土地の特性を把握すれば、宅地転用を目指すべきか、売却を選択すべきかの判断がしやすくなるでしょう。

市街化調整区域の土地は宅地に転用できる?

市街化調整区域では、市街化につながる行動を厳しく制限しています。新たに建物の建設や建て替え、用途変更などを行うには自治体の許可が必要ですが、規制が厳しく許可を得るのは困難です。

最初に、市街化調整区域にある土地を宅地化する条件や難易度について解説します。

宅地の転用に必要な条件

前提として、市街化調整区域の主な法令は都市計画法で定められています。一方、農地転用(農地を別の用途に利用すること)は、農地法に基づいて許可基準が定められており、市街化調整区域内であっても、対象の土地が農地である場合は農地法の規制を受けます。

なお、市街化調整区域の管理は市区町村が窓口となるのが一般的ですが、開発許可は都道府県知事(政令指定都市では市長)である点には注意が必要です。

宅地転用ができるかどうかの判断は、立地基準と一般基準で決まるため、それぞれ詳しく解説します。

立地基準

立地基準とは農地の区分に応じた許可基準のことです。農地法では、営農条件や周辺の市街化の状況に応じて、農地を以下の5種類に区分しています。

区分 要件(営農条件、市街地化の状況) 農地転用申請に対する許可の方針
農用地区域内農地 市町村が定める「農業振興地域整備計画」で、農用地区域に分類された区域内にある農地 原則不許可
甲種農地 市街化調整区域内にある以下いずれかの農地

  • 農業公共投資の事業完了後から8年以内の農地
  • 集団農地で高性能農業機械を使用しての営農が可能な農地
原則不許可
※ただし、農業用施設を建設する場合など、一定のケースに該当する場合のみ例外として許可対象になる
第1種農地 以下のいずれかに該当する農地

  • 集団農地(10ha以上)
  • 農業公共投資対象の農地
  • 生産力の高い農地
原則不許可
※ただし、甲種農地と同様に、一定の要件を満たす場合は例外許可の対象となり得る
第2種農地 以下のいずれかに該当する農地

  • 農業公共投資の対象となっていない、小集団の生産力が低い農地
  • 市街地として発展する可能性がある農地
第3種農地に立地困難な場合などに許可
第3種農地 以下のいずれかに該当する農地

  • 都市的整備がされた区域内にある農地
  • 市街地にある農地
原則許可

参考:農業振興地域制度、農地転用許可制度等について

農用地区域内農地は農地の中でも最も保全優先度が高いため、宅地への転用は極めて困難です。甲種農地や第1種農地は農地転用が例外的に認められるケースがあるものの、宅地への転用は基本的に対象外となります。第2種農地の農地転用の許可を得られることもありますが、条件は限定的です。

以上のことから、宅地へ転用できる可能性が高いのは第3種農地といえるでしょう。

一般基準

前述のとおり、農地区分は全部で5種類ありますが、一般基準はそのすべてに共通する内容です。

一般基準として、以下のいずれかに該当する場合は農地転用が不可となります。

  • 他法令による許認可の見込みがないなど、転用の確実性が認められない
  • 周辺にある農地へ悪影響を抑える対策が適切ではない
  • 一時転用(最長3年間の利用)の場合、農地への原状回復が確実と認められない

参考:農業振興地域制度、農地転用許可制度等について

農地法では、立地基準と一般基準の両方を満たすことで宅地転用が許可されます。

市街化調整区域で宅地化する難易度

自然環境を守るという観点から、農地の転用基準は厳しく定められています。

宅地転用の許可が現実的といえるのは、第3種農地に該当する場合です。しかし、第3種農地は主に市街地にある農地とされており、市街化調整区域内にある農地が対象となることはほとんどありません。

そのため、申請手続きは複雑な上に、許可が下りないケースが大半です。宅地転用の許可を得られるかの判断や手続きの難易度は非常に高いため、専門家への相談をおすすめします。

市街化調整区域で家を建てられるケース

以下は、市街化調整区域にある農地で宅地転用ができる可能性があるケースです。

  • 農地転用の許可を得られた第3種農地
  • 分家住宅の要件を満たしている農地
    ※分家住宅:農家などを営んでいた本家から独立して新たな世帯を形成した人が、当該地域内で自分の世帯のために建てる住宅
  • 自治体条例に基づいて例外的に住宅建築が認められる農地

いずれも、家を建てられる可能性があるケースであり、必ず宅地転用の許可を得られるわけではありません。市街化調整区域にある農地は難易度が高いといえます。

市街化調整区域の買取に関するお問い合わせ

市街化調整区域で宅地に転用するときの手続き

市街化調整区域内の土地を宅地として用いるためには多くの手続きが必要です。自治体の許可なく農地以外の用途で利用することは認められていないため、宅地転用の手順についてわかりやすく解説します。

宅地転用するための届出・許可

宅地転用をするための届出として許可申請が必要です。宅地転用を行うために必要な許可は主に3つあるためそれぞれ紹介します。

農業委員会の許可

対象の土地の地目が田や畑といった農地の場合、農業委員会の許可が必要です。許可申請を行うときの大まかな流れを紹介します。

【農地面積が30a以下の場合】

  1. 農業委員会に申請書を提出する
  2. 農業委員会が意見を添えて申請書を都道府県知事等に送付する
  3. 都道府県知事等から申請者に対して許可等の通知が届く

【農地面積が30a超の場合】

  1. 農業委員会に申請書を提出する
  2. 農業委員会から都道府県農業委員会ネットワーク機構に対して意見聴取が行われる
  3. 都道府県農業委員会ネットワーク機構からの回答が届く
  4. 農業委員会が意見を添えた上で申請書を都道府県知事等に送付する
  5. 都道府県知事等から申請者に対して許可等の通知が届く

参考:農地転⽤許可の⼿続について

申請者が行う手続き自体に大きな違いはありませんが、農地面積が30a超の場合は申請から結果通知までの工数が多くなります。

都道府県知事の許可

市街化調整区域のうち開発許可を得ていない区域では、地目変更や建物の建設・建て替えなどのために都道府県知事の許可が必要です。

開発許可については都市計画法第29条、許可申請の手続きについては第30条で定められています。申請書に記載が必要な事項は以下の通りです。

  • 開発区域の位置、区域、規模
  • 開発区域内において予定される建築物又は特定工作物(予定建築物等)の用途
  • 開発行為に関する設計
  • 工事施行者
  • その他国土交通省令で定める事項

参考:都市計画法 | e-Gov 法令検索

都道府県知事の許可については都市計画法を基本としつつ、都道府県が独自のルールを設けている可能性もあります。詳しくは各都道府県ごとの窓口でご相談ください。

宅地化するときの基本的な流れ

市街化調整区域の農地を宅地化するときの基本的な流れとして、さいたま市の例を紹介します。

  1. 農地転用について申請者が事前相談を行う
  2. 事前相談の結果、許可を得られる可能性があると認められた場合、申請書を提出する
  3. 自治体による申請内容の審査・各地区審議会・農業委員会月例総会で確認される
    ※このタイミングで現地調査が実施
  4. 農業委員会事務局で許可書の交付を受ける
  5. 転用工事の完了後、工事完了届と現況写真を提出する

参考:さいたま市/市街化調整区域の農地を転用するとき

さいたま市の場合、申請書の受付から許可書の交付までの処理期間が35日となっています。自治体によって手続きの流れや処理期間が異なる可能性が高いため、必ず対象の自治体による案内をご確認ください。

市街化調整区域で宅地化できなかったときの対処法

市街化調整区域にある土地の用途変更は難しく、宅地転用の許可を得られない可能性の方が高いでしょう。そのため、市街化調整区域で宅地化できなかった場合のことを考えておくことが大切です。

宅地への転用ができなかった場合の対処法をご紹介します。

そのまま売却する

宅地以外の用途で対象の土地を所有し続けるメリットがない場合、売却して手放すのが最も現実的な方法です。

市街化調整区域にある農地の売却方法としては、以下の3つが挙げられます。

  1. 市街化調整区域の土地の売却実績がある不動産会社に仲介を依頼する
  2. 市街化調整区域でも買取に対応している専門業者に依頼する
  3. 隣地所有者に譲渡を持ち掛ける

3の「隣地所有者に譲渡する」が成立するのは、双方の合意があった場合のみです。状況によっては交渉の難航や隣地所有者との関係悪化に発展する恐れもあるため、自身のケースに適した手段であるか検討を重ねてください。

宅地以外の方法で土地活用する

市街化調整区域では、建物の建設や建て替えに関する規制が特に厳しく、農地から宅地への転用は難易度が非常に高いのが実情です。

ただし、建築を行わない場合は、都市計画法上の建築制限を回避できる可能性があるため、用途によっては実現できるでしょう。

具体的には、以下のような宅地以外の土地活用であれば、条件次第で認められるケースがあります。

  • 農産物の直売所
  • 農業体験ができる施設
  • 駐車場
  • 太陽光発電
  • 資材置き場

いずれの場合も事前の許可や届出が必要となることには変わりありません。無断での用途変更は認められないため、必ず自治体や専門家に確認したうえで検討してください。

市街化調整区域に関するお問い合わせ
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