マンション売却で住宅ローン残債を一括返済する方法!支払いの流れや対処法とは?
マンションを売却する際、住宅ローンの残債を一括返済したいと考えるのが一般的です。
アンダーローンであれば売却代金で完済できる一方、オーバーローンの場合は自己資金の投入や住み替えローンの利用、任意売却を検討しなくてはなりません。
住宅ローン残債の一括返済方法と、円滑に売却を進めるための実践的な手順や注意点をわかりやすく解説します。
マンション売却で住宅ローン残債を一括返済する方法
はじめに、住宅ローンが残った状態でのマンション売却の可否や、住宅ローンの返済方法について解説します。
住宅ローン残債があってもマンションは売却できる
結論として、住宅ローンの残債があってもマンションの売却は可能です。
ただし、ローン残債があるマンションを売却するためには、原則としてローン残債の一括返済が必要となります。
また、住宅ローンの完済とあわせて不動産の抵当権抹消も必要です。
住宅ローンの残債金額によって一括返済の方法が異なる
住宅ローンの残債がある状態でマンションを売却するには、原則としてローン残債の一括返済が必要と紹介しました。そして、一括返済の方法はマンションの売却価格が住宅ローン残債を上回るか否かで異なります。
売却価格が住宅ローンを上回る場合
マンションの売却価格が住宅ローン残債を上回る、すなわち住宅ローン残債の方が少ない状態のことを「アンダーローン」といいます。
アンダーローンの状態であれば、マンションの売却によって得た資金でローン残債の一括返済が可能です。
マンションの売却と住宅ローンの一括返済、どちらの手続きも特別な工程は発生しないのが一般的です。
売却価格が住宅ローンを下回る場合
マンションの売却価格が住宅ローン残債を下回る、すなわち住宅ローン残債の方が多い状態を「オーバーローン」といいます。
オーバーローン状態の場合、マンションの売却だけでは住宅ローンの完済ができません。したがって、オーバーローン状態を解消するために別の対応が必要になります。
オーバーローンでもマンションを売却する方法
オーバーローンでマンションを売却する方法として以下の3つが挙げられます。
- マンションの売却によって得た資金と自己資金を合わせて返済する
- 住み替えローン(買い替えローン)を利用する
- 任意売却をする
1は文字通り、マンション売却によって得た資金だけでは返済しきれない部分については自己資金を使って返済する方法です。
オーバーローンでもマンションを売却する方法として最もシンプルですが、まとまった支出が発生するため資金繰りに大きな影響を与える恐れがあります。
2の住み替えローンとは、新しい物件の購入費用と現在の住宅ローンの残債を合わせて借り入れできる商品です。
例えば現在の住宅ローン残債が1,000万円、新たに購入する物件の価格が4,000万円の場合、合わせて5,000万円のローン契約を行うことになります。
3の任意売却とは、住宅ローンの返済が困難な場合や、残債の一括返済ができない場合に、債権者の合意を得た上で物件を売却することです。物件の販売価格や売却後に残る住宅ローンの返済方法は債権者と交渉する必要があります。
任意売却に関するお問い合わせマンション売却で住宅ローン残債を一括返済するときの流れ
マンション売却で住宅ローン残債を一括返済するときの手順について解説します。
マンションの査定依頼
最初に行うのはマンションの査定依頼です。査定結果をもとに、マンションの売却によって得られる資金で住宅ローン残債の一括返済ができるか判断します。
マンションの査定方法には「簡易査定」と「訪問査定」の2種類があります。
簡易査定とは売却対象の物件について細かな情報を伝えて、簡易的に査定価格を計算してもらう方法です。
簡易査定の大きなメリットは、時間や手間がかからない点です。一方、実物の状態や細かな情報までは考慮できないため査定の精度が低い点はデメリットといえます。
訪問査定は担当者が実際に現地に訪問して行う査定です。物件の基本情報だけでなく、外観・内装・周辺環境などの細かな要素まで考慮した上で査定価格を計算できます。
訪問査定は実物を見た上で行うため精度が高く、実際の売却価格に近い査定価格の計算が可能です。
デメリットとして、日程調整や当日の対応が必要な点や、査定価格が出るまでに時間がかかる点が挙げられます。
精度が低い簡易査定の結果だけでマンション売却を決めるのは、リスクが高いといえます。そのため、簡易査定だけでなく訪問査定も行うことをおすすめします。
依頼する不動産会社の選定
次に、マンション売却の仲介を依頼する不動産会社の選定を行います。
単純な査定価格だけでなく、査定時に受けた印象や担当者との相性、不動産会社の得意分野なども考慮した上で選定しましょう。
媒介契約を締結する
媒介契約とは不動産売却時に仲介を依頼する不動産会社と結ぶ契約です。
媒介契約には以下の3種類があります。
契約の種類 | 特徴 |
一般媒介契約 |
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専任媒介契約 |
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専属専任媒介契約 |
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それぞれ異なるメリット・デメリットがあるため、契約条件を入念に確認し、自分に合う方法を選びましょう。
買主と売買契約を締結する
販売活動の開始後、買主が見つかれば売買契約を締結します。
ただし、売却価格がローン残債を下回り、自己資金と合わせても一括返済ができない場合は、住み替えローンや任意売却の交渉が必要です。
住み替えローンを利用するには審査に通過する必要があるため、売買契約の前に金融機関に相談しましょう。
任意売却についても債権者の合意が必要なため、相談せずマンション売却をすることはできません。
売却価格や自己資金だけで一括返済ができない場合は、売買契約の前に交渉などの手続きが必要になる点に注意してください。
ローン残債の一括返済を申込む
前述のように、ローン残債の一括返済を申し込むタイミングはローンの状況によって異なります。
アンダーローンの場合や自己資金と合わせて一括返済が可能な場合は、売買契約の締結後に一括返済を行うのが一般的です。
金融機関とのトラブルを防ぐため、決済日の1ヵ月前までには一括返済を希望する旨を連絡しましょう。
また、決済日・引き渡し日も決まり次第なるべく早く連絡する必要があります。一括返済や抵当権抹消などの手続きを進めるため、引き渡し日の2週間以上前には伝えるのが理想です。
自己資金と合わせても一括返済ができない場合は、前述のように事前に住み替えローンや任意売却の交渉が必要です。
債権者である金融機関と交渉し、決定事項に従って手続きを進めるようにしてください。
抵当権抹消登記を行う
抵当権の抹消登記は決済日に引き渡しと同時に行うのが一般的です。
売却・ローン残債の一括返済・マンション引き渡しをすべて同日に行う場合、以下のような流れになります。
- 買主からマンション売却の代金を受け取る
- 1で受け取った代金を使い住宅ローン残債を一括返済する
- 金融機関から抵当権抹消に必要な書類を受け取る
- 法務局で抵当権の抹消手続きをする
- 買主にマンションを引き渡す
マンションの引き渡しをスムーズに行うためには、抵当権抹消登記を不備なく正確にこなす必要があります。
そのため専門家である司法書士に依頼するケースが多いです。
マンションを引き渡す
最後にマンションの引き渡しを行います。書類の不備や手続きに漏れがあると引き渡しを完了できない恐れがあるため注意しましょう。
仲介会社のサポートを受けながら売却の手続きを進めるのが安心です。
マンション売却で住宅ローン残債を一括返済するときの注意点
最後に、マンション売却とあわせて住宅ローン残債を一括返済するときの注意点を5つご紹介します。
住宅ローンの残債金額を完済できるか確認する
販売活動を本格的に進める前に、まずはマンション売却によって住宅ローンの残債金額を完済できるか確認しましょう。
アンダーローンとオーバーローンで手続きの進め方が異なるためです。査定後、不動産会社を選定する前に一括返済の可否を確認する必要があります。
複数社に査定依頼をする
マンション売却の査定依頼は複数社に依頼するのがおすすめです。
理由として以下の3つが挙げられます。
- 会社によって得意分野や重視する点が異なるため、査定額が大きく変わる可能性がある
- 手続きの進めやすさやトラブルのリスクは、不動産会社との相性によって大きく変わる
- 1社からの査定結果だけでは相場を判断しにくい
多少手間はかかりますが、納得のいくマンション売却のためにも、複数社に査定依頼をした上で比較・選定しましょう。
住み替えのときはローン額に注意する
住み替えローンを利用する場合は、一時的に複数の住宅ローンを並行して組む「ダブルロール(二重ローン)」になりやすいため注意が必要です。
2つの住宅ローンを返済するため返済額が高額になる可能性があります。また、返済負担が重くなりやすいためローン額に注意し、無理のない返済計画や資金計画を立てましょう。
売却にかかる費用や税金を把握する
マンション売却とあわせて住宅ローンの一括返済ができるかを判断するためには、売却にかかる費用や税金も考慮する必要があります。
契約金額だけをみれば一括返済ができそうでも、諸経費を含むとオーバーローンになってしまう恐れもあります。
マンション売却や一括返済で必要になる経費として以下の例が挙げられます。
- 仲介手数料
- 抵当権抹消登記にかかる登録免許税
- 司法書士への報酬(司法書士に依頼する場合)
- 一括返済の手数料
売却や一括返済で発生する費用の金額も計算した上で、一括返済の可否を判断しましょう。
金融機関への連絡は早めに行う
一括返済を希望する旨や決済日の共有など、金融機関への連絡はなるべく早めに行うことが大切です。
一括返済の相談段階であっても、一括返済を行う予定の1ヵ月前までには行うべきでしょう。
金融機関によって必要な手続きが異なりますし、そもそも一括返済ができない可能性もあるためです。
一括返済の申し込みは、遅くても決済日の2週間前までには行うべきです。連絡が遅れると書類の準備が間に合わず、予定していた日に引き渡しができなくなる恐れがあります。
買主に多大な迷惑をかけるだけでなく、最悪の場合は損害賠償を請求される恐れもあるため注意してください。
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